『婚活』を『結婚』へと結びつけるには、数多く出会うことが大事なのか。ひとつひとつの出会いを大切にすることが大事なのか。

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『婚活』を『結婚』へと結びつけるには、数多く出会うことが大事なのか。ひとつひとつの出会いを大切にすることが大事なのか。

 

『婚活』という言葉が新流行語対象になったのは、2009年のことです。語源は「結婚活動」。結婚しない男女が増え、晩婚化が進み、「今の時代は、結婚の活動を積極的にしなければ結婚はできない」そんな時代背景が、生んだ言葉です。生みの親は、山田昌弘さん、白河桃子さん共著の『婚活時代』。私も興味深く読みました。

 

それから約8年が経ち、『婚活』はさらに世の中に浸透し、今や独身者なら多かれ少なかれ「婚活」をしている時代になりました。

 

合コン、街コン、婚活パーティ、婚活アプリ、結婚相談所でのお見合いなどなど、今婚活できる場所は驚くほどたくさんあります。

 

こんなにも婚活できる場所が乱立しているのに、結婚をしていく人たちの人数は一向に増えません。増えないどころか、生涯未婚率は上昇しています。

 

なぜなのでしょうか?

 

独身者が出会いをサボッている? いいえ、そんなことはなく毎週のように婚活パーティに繰り出したり、婚活アプリで知り合った人と積極的に会ったり、何十人もの人とお見合いしている人たちが大勢いるのです。

 

『婚活』を『結婚』へと結びつけるには、数多く出会うことが大事なのか。ひとつひとつの出会いを大切にすることが大事なのか。

 

 

・お見合い70回以上が2名、お見合い50回以上が1名

 

この数字が何かというと、私の結婚相談所で結婚を決めて退会していった人が、結婚相手に巡り合うまでにしたお見合いの数です。それぞれの方たちが、私の相談所に入ってくる前にも、別の相談所でもお見合いをしていてみなさん婚活歴が3年くらいあります。

 

そのほかにも、私の相談所だけで、30回、40回とお見合いし続けている人もいます。

 

先日面談にいらした女性は、ここ3年くらいのうちに婚活アプリを使ったお見合いで、120名と実際に会ったそうです。「アプリで会う方は、経歴や年齢を詐称している人もいたし、出会いを遊び感覚でとらえている人も多かったので、結婚相談所に来ました」と言うのです。

 

こんなにたくさんの人数に出会わないと結婚できない時代になってしまったんですね。

 

 

 

・昔は、親が決めた人、お見合い写真を交換したら、『結婚』が決まっていた。

 

「いいなづけ」という言葉、ご存知ですか? 許婚、許嫁とも書き、双方の親がまだ子どもが小さいうちから、“将来は結婚をさせよう”と決めていて、年頃になると、子どもの意思は関係なく結婚をさせていました。

 

また、明治、大正、昭和初期のお見合いは、写真を交換すればもうそれで結婚が成立。

 

戦時中、結婚したものの一度も顔を合わせることなく夫が戦争に出かけ、戦死してしまったという話もありました。

 

親が女性には、学歴をつけさせないようにもしていました。女性が高学歴だと男性が敬遠して、それだけで嫁の貰い手がいなくなるという理由から。

 

燃え上がるような気持ちで人を好きになったり、思いが届かなくて切なくなったり、振られて傷ついたりするようなことはなかったかもしれません。

 

いや、ありましたね。与謝野晶子がプレーボーイだった与謝野鉄幹を妻から略奪したのは有名な話。ただ、惚れた腫れたと情熱的な恋愛をしていたのはごく一部の人たちで、ほとんどの人がたいした恋愛経験もなく結婚をしていったのです。

 

昔の人って、自分に与えられた異性とまっさらな気持ちで向き合い、その人を受け入れて、いいところを探し悪いところには目を瞑って結婚し生涯を終えていたのでしょう。

 

もしかしたらそんシンプルなやり方のほうが、人は幸せになれたのかもしれません。

 

 

・選択肢が多いから、迷ってしまう

 

 

「婚活難民」「婚活迷子」「結婚揺さぶられ症候群」などという言葉も生まれています。

 

婚活できる場所がこんなにも乱立していると、たくさんの異性に出会えるチャンスがあるわけで、出会えば出会うほど、どの人を選んでいいのかわからなくなってくる。婚活のフィールドをさまよってしまうんですね。

 

さらに、そのさまよい原因を作っているのが、条件ありきの出会いだと、私は思うのです。

 

お見合いや婚活アプリなどの出会いは、最初に写真で顔が確認でき、年齢、身長、体重、住まい、仕事、年収などがわかっています。

 

もちろん条件がわかっての出会いには利点もあるんですよ。

 

  • ・「結婚したい」という気持ちが下地にある人と出会える(婚活アプリの場合は年齢、経歴詐称をしている人もいるので注意が必要ですが)
  • ・写真で自分のタイプかどうか見た目の判断がつく。
  • ・仕事や年収がわかっていれば結婚後の生活レベルがわかるし、どんな結婚生活になるか、おおまかにイメージできる。

 

ただ、この利点が一転してマイナスに作用してしまうこともあります。

 

どうマイナスに作用してしまうかというと、条件ありきの場合、それをしっかりと頭に叩き込んでから、お相手に出会う。そして、その条件と目の前に現れた人を、一項目ずつチェックをしていくんです。

 

「写真は、ずいぶん盛ってたな。実際はかわいくない(ハンサムじゃない)」

「人並みに年収があるのに、割り勘にするなんてケチだわ」

「持ち物にブランド品が多くて、金のかかりそうな女だな」

「名前の知れた会社に勤めているのに、どうしてこんなにコミュニケーション能力がないんだろう」

 

昔の人は、与えられるお相手が一人だから、悪いところが見えた時には目を瞑ったし、そこはあきらめた。

 

ところが選べるお相手がいっぱいいれば、「この人とは合わない。次に行こう」と思ってしまう。

 

・まるでお見合いのプロ

 

先日知り合いのお仲人さんからこんな話を聞きました。
見た目はとても素敵な39歳の女性が面談にやってきたと言うんです。彼女は、その相談室の前にも大手結婚相談所に入っていて、「すでに100人とお見合いをした」とか。

 

それでも「結婚したいと思う人には出会えなかった。もうそこの相談所の男性たちは見切ってしまったので、新しい相談所で活動したい」と。

 

さっそく入会し、お見合いが始まりました。すると、彼女の“お見合いさばき”にびっくりしたそうです。それは「お見合いのプロ」のなせる技だったから。

 

彼女を登録してから2週間後、お仲人さんのところにメールが来たそうです。

 

「サイトの動きが悪いですね。前の相談所は登録してからの2週間は、毎日のようにお申込みがかかっていました。1週間で30〜40人は、申込みをいただきました。かけてくる男性は50代、60代の人もいたので、その人たちを受けるか受けないかは別にしても、今回は、2週間で10人くらいしか申し込みをかけてきていませんね。来ているお申込みを全部私に流してくれていますか?」

 

結婚相談所の場合、直接お相手に申し込むのではなく、お申し込みは仲人さん経由なんです。

 

お仲人さんはメールでこう返信したと言います。

 

「来ているお申込みは、すべてお知らせしていますよ。過去、相談所にいらした時には、年齢が1歳、2歳、お若かったですよね。これまでお見合いをたくさん経験してきたMさんならおわかりかもしれませんが、女性は35歳をすぎたら、年々結婚することが難しくなっていきます。39歳はもう40歳が見えている微妙な年齢です。また39歳から40歳にも大きな隔たりがあり、女性は40という歳になると、またガクンとお申込みの数が減りますよ」

 

このメールに対して、彼女からの返信はなかったそうです。お仲人さんが言っていることが、「もっとも」だと思ったのでしょう。

 

その後、お見合いをすることになっていた男性が、日程を「仕事の都合で」という理由で、3回ほど「日程変更」を申し出てきた時には、こんなメールが来たそうです。

 

「こんなにお見合いをリスケされては困りますね。何を考えているのでしょうか」

 

リスケとはリスケジュールのことですが、お見合いに「リスケ」という言葉を使うところが、結婚というよりもビジネスのニオイを感じてしまいますよね(笑)。

 

またこんなこともあったそうです。3つ上の見た目イケメン男性から申し込まれて、彼女がお見合い受諾をしたら、それまで通常のサイト画面にいたのに、数日後にその男性がピックアップ画面に移動していた。

 

ピックアップ画面というのは、サイトをひらいた時に一番最初に目に入る画面です。基本的には登録したての新人がそこには並びます。しかし、すでに活動しているにもかかわらず、お申し込みが少ない場合は、お金を払ってそこに再登場させます。そうすると目立つので、お申し込みが増えるのです。

 

すぐに彼女からメールが来ました。

 

「今度の日曜日にお見合いする方、今日見たらピックアップに入っていました。

 

番号をみると1年くらい前に登録されている方ですよね。それを今ピックアップに入れて前に出したということは、お見合いが思うように組めていないか、お見合いが組めていてもなんらかの問題が彼にあってお断りをされているということですよね。なぜピックアップに移ったのか相談室に問い合わせていただけませんか?」

 

このお見合いのシステムを熟知ぶり。またひとつひとつのお見合いのさばきもプロ級で、私はこの話をお仲人さんから聞いた時に大笑いしてしました。

 

 

・人を好きになる時は、見た目も条件もたいした問題ではない

 

これまであなたが好きになった人たちを思い浮かべてみてください。
容姿も、仕事も、収入も、性格もバラバラではないですか? 

 

そして今思い返してみると「どうして私は、あの人をあんなに好きだったのだろう」と思いませんか?

 

恋愛で出会った場合は、頭で冷静に「条件がどうだ」とか考える前に、気持ちが先に走っていますよね。

 

そこで、お相手の欠点が見えてきたとしても、「好きだから、ま、いっか」と思える。決して減点をしない。「この人にはこんな欠点もあるけれど、やさしいし、私(俺)を大事にしてくれるから、ま、いいか」と加点していくんです。

 

 

・歳を重ねるほどに結婚しにくくなる理由

 

 

結婚って「決断」なんですよね。結婚を決める時に離婚を考えている人はいないわけで、「この相手と残りの人生を一緒に歩いていこう」と決断するわけです。

 

それだけに、迷う要素もたくさん出てくる。だって残りの人生を一緒に歩いていくんですから、それはそれは長い年月です。失敗はしたくない。

 

迷えば不安も出てきます。でも、「大丈夫、なんとかなる!」「この相手となら、何があっても乗り越えられる」そう思って決断をするわけですね。

 

で、この決断をする時に、人生経験が少ないほうが決断しやすい。

 

歳を重ねると、決断がしにくくなるんです。人間が頑固になっているというのもあるし、積み上げてきた経験や知識が前のめりな決断を下そうとするのを邪魔をするんですね。

 

だから20代のほうが結婚をしやすいんです。

 

まとめ

 

『婚活』を『結婚』へと結びつけるには、数多く出会うことが大事なのか。ひとつひとつの出会いを大切にすることが大事なのかを考えてきました。

 

これほど出会いの場が数多く提供されてしまうと、やっぱり目移りしてしまうし、お相手の嫌な部分が少しでも見えると、「この人はもうナシ! 次に行こう」と思ってしまうのはしかたがないことかもしれません。

 

70回、80回〜100回と出会いやお見合いを繰り返し、結婚していく人がいます。

 

その方たちは結婚を決断する時に、何を持って決断したのかが知りたいところです。

 

ただ、これまで私が見てきた傾向として、女性は最後の最後まで「好きになった人と結婚したい」と、自分の感情にこだわる人が多い。

 

ところが男性は、「結婚できる女性と結婚していく」

 

ちなみに私は、33を超えた頃から恋愛しても私が好きになる男性からは「結婚」という言葉が聞けず、36の時に結婚できると思っていた男性から、スコーンと思い切り振られ、結婚相談所に入りました。そして、3回目のお見合いで結婚を決めました。

 

その時の私の心境は、「私と結婚してくれる人と結婚しよう」でした。発想が、男性寄りでしたね(笑)。

 

重ねますが、結婚は「決断」です。

 

なにはともあれ、「決断」できる人が「結婚」を決めていきます。